松浦史料博物館開館70周年記念・九州国立博物館開館20周年記念特別展
平戸モノ語り ─松浦静山と熈の情熱
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九州国立博物館
| 2019/05/08 |
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瀬戸内海に浮かぶ帆船。しっとりとした朝の空気に包まれながら、水面に複雑な模様を描いています。
木版画である本作の見どころは、光の表現。水面に映る光のゆらぎは墨流しのように見えますが、よく見ると、一つ一つが線で描き起こされています。また、空気を満たす太陽光は、とても細かな丸刀の彫り跡で表されています。橙色(だいだいいろ)に輝く帆にはまるで血が通っているかのよう。
作者は青年期、「絵の鬼」と呼ばれるほど熱心に修業に取り組みました。本作を発表した1920年代には、職人たちを指揮しながら技巧を凝らした木版画作品を生み出していました。
《帆船》は21年に一度制作されましたが、関東大震災で版木が焼失し、本作は5年後にほぼ同じ構図で新たに作られたものです。驚くべきは、下絵・版木を作り直しただけでなく、摺(す)りの方法も一新していること。さらに、色調を変えて「朝・午前・午後・霧・夕・夜」の異なる時間を表した6バージョンを生み出しました。「絵の鬼」ここにあり。幾つもの過程を想像すると、作品からドラマが立ち上がってきます。会場では6バージョンすべてをご覧いただけます。
(学芸員 忠あゆみ)
内外のモダンアートから古美術まで約1万6千点もの収蔵品を誇る福岡市美術館。リニューアル記念のコレクション展から、ふだん展示の機会の少ない「隠れた名品」を紹介する。=4月23日 西日本新聞朝刊に掲載=
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