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マンモスの皮膚や体毛も 福岡市科学館で「マンモス展」 【コラム】

2019/12/17 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
マンモスの全身骨格の前で、来場者に説明する野尻湖ナウマンゾウ博物館の近藤洋一館長

 福岡市科学館で開催中の「マンモス展」(西日本新聞社など主催)は、シベリアの永久凍土から出土したマンモスなど古生物の発掘成果に触れることができる。近畿大による「マンモス復活プロジェクト」の成果と課題もパネルで紹介し、生命倫理についても問い掛ける。
  18点が並ぶ展示の目玉は、世界初公開のマンモスの鼻(3万2700年前)と、左後ろ脚の付け根部分の皮膚(3万1150年前)。いずれもロシア・サハ共和国で出土した。凍土の中では骨だけでなく筋肉などの軟組織も、腐食したり動物に食べられたりすることなく良好な状態を保つ。

マンモスの体毛。実際に触れることができる


 

世界初公開のマンモスの鼻。ハート形をした先端部分は学術的に貴重な意味を持つという

 

世界初公開の子ウマ(手前)と、マンモスの左後ろ脚付近の皮膚の冷凍標本

 巨大な牙と体毛が残る頭部標本「ユカギルマンモス」(1万7800年前)は九州初上陸。2005年の「愛・地球博」(愛知県)で話題を集めた。マンモスの全身骨格や復元像、実物の体毛やふんも展示され、体毛には触ることもできる。

巨大な牙と体毛が残る「ユカギルマンモス」の冷凍標本。1万7000年以上の時を超えて生命の意味を語り掛けてくる

 

 マンモスの他、子ウマ、バイソン、ライチョウ、子イヌの冷凍標本もある。いずれもほぼ完全な形をとどめており、子イヌ以外の3点は世界初公開だ。
  近畿大は、サハ共和国で10年に発見された子マンモス「ユカ」の冷凍標本から細胞核を取り出し、マウスの卵子に注入する実験をした。細胞分裂には至らなかったものの、その直前に起こる現象を一部で確認した。
  近畿大は別の方法でマンモス復活を目指しているが、研究者の間には生命倫理上の問題を指摘する声もある。会場ではこうした課題も含めて、生命科学の最先端技術や研究成果をパネルで紹介している。
  展示構成を監修した作家でクリエイターのいとうせいこうさんは「珍しい物を集めて見せるだけでなく、生命とは何かを考えてもらう内容になっている。答えは提示していない。来場者が答えを見つけてほしい」と話す。(文・大淵龍生、写真・吉留常人)=11月29日西日本新聞朝刊に掲載=

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