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「マンモス展」監修者2人によるサハ共和国調査報告と、展覧会にかける想い(後編)【レポート】

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木下貴子
2020/02/07
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「マンモス展」の監修を担ったいとうせいこうさんと近藤洋一さんのお二人によるトークイベントレポート後編です。前編はこちらからどうぞ。

 

後半では、田中さんが2018年の夏にサハ共和国にて、ロシア北東連邦大学の研究チームの発掘調査に同行した話が語られました。夏はふつうに昼間は25度くらいまで気温があがるというサハ共和国。町並みの景色が、冬とまったく違います。

研究チームの発掘は2カ所で行われ、1つ目の場所はバタガイカクレーターという壮大なクレーターでした。「地球温暖化の影響によって50年ほど前に崩落してできたクレーターです。一帯が永久凍土なんですが、いまも太陽の熱で壁が少しずつ溶け続け、どんどん穴が広がっています」と田中さん。「この壁の所から、こちらの仔馬が発掘されました」。

高さ100メートルほどのクレーターの壁

 

壁から発掘された4万年前の仔馬。最初に発見したときは、壁からぶらーんととぶらさがるような状態だったそうです


マンモスミュージアムを訪れた時に、この仔馬を解剖する最初の執刀を担ったという近藤さんは「まさに、先ほど死んだかのような馬の肝臓がでてきました」と驚きを隠せません。この解剖では、古生物の研究上例をみない状態として、血液と尿が採取できたそうです。

研究チームが訪れた2つ目の場所は、通称「マンモスの墓場」と呼ばれるユニュゲンです。ここでは、マンモスの全身骨格や皮膚が発見されました。

毛穴まで残っていたマンモスの皮膚

4人乗りボートで12時間河を下り、誰も住まない場所に4泊野宿(キャンプ)したという過酷な発掘調査でしたが、その甲斐あって今回の「マンモス展」がより充実したものとなりました。この2カ所での発掘調査で、研究チームが発掘した仔馬、骨格標本、マンモスの皮膚(マンモスの毛も!)も、本展で見ることができます。また展示会場では、発掘調査の様子も詳しくレポートされています。

最後に、いとうさんと近藤さんから、あらためてマンモス展のみどころが話されました。まずは、いとうさん。「何万年も前の過去に、マンモスやマンモスをとりまく動物たちがどういうふうに暮らし、また樹木などの植物がどのように生息していたも想像できるのが一つのいいところ。そして現在。永久凍土からマンモスが出てくる要因に、温暖化や気候変動の問題があるわけです。そこに危機感をもった人たちの中に、マンモス復活など科学的な試みをしてなんとか未来に生命をつなげようという人もいて、一方でそれは時期尚早じゃないかというような議論も起こっている。これは未来の問題です。本展では、過去、現在、未来がすべて見渡せるようになっていて、それを体験的にわかるように見せています。特に展覧会を見た子どもたちが、将来、生物学者になったり、科学者になったりするといいなという想いがあります。次の世代に渡したいという気持ちがすごくあります。同じように本展スタッフにその熱い気持ちがすごくあったので、いい展覧会になったと思います」。


近藤さん。「古生物学者って、過去のほんの小さな化石だとか、骨だとかいろんなものから、それらを復元するわけです。復元は、本でいうと1ページの中のいろんな文字の1つとか、2つとか3つくらいの文字によってその時代を予測するような、そういう仕事です。ですが、冷凍標本だと全体を見ることができるんです。過去の研究が正しかったかどうか、我々の科学のやり方が証明でき、また新しい発見もそこからでてくる。まさにタイムマシンみたいなものが冷凍標本にはあります。ですがそれには危機も伴います。4万年前にどうして絶滅したのかまだわかってないということは、私たちがまだ地球環境に対して理解できてない部分があるということ。私たちの生活や地球環境をこれからどうすればいいかということが問いかけられているのではないかと思うんです。過去の事をわかっていただきながら、未来のことや、地球環境についての問いかけも感じてもらえたらと思います」。


この後の質疑応答では、「どうやったら冷凍庫が曇らないか」「血液の中にばいきんや細菌はあったのですか」「ナウマン象の化石は九州だとどこでみつかるんですか」「発掘された時代は地層で分かるんですか」「近藤先生が古代生物に興味をもつようになった原体験を教えてください」など、会場からはたくさんの質問がありました。その多くが、小学生やそれよりも小さいお子さんからの質問でした。いとうさんや近藤さんが未来に込めるメッセージ、確実に次の世代へと届いています。

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