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【レポート】福岡市博物館|『プリニウス』のヤマザキマリ×とり・みきが語る「世界遺産 ポンペイの壁画展」の見どころ

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大迫章代
2017/05/20
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福岡市博物館で現在開催中の「世界遺産 ポンペイの壁画展」。展覧会オープニング2日目、同館1階講堂で行なわれた「ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス』スペシャル・トークに行ってきた。

 

会場は、応募でイベントの講聴券を手に入れた観客でいっぱい。興味津々で2人の話に耳を傾ける。

 

ヤマザキマリさんは『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家、随筆家でイタリア在住。1984年に渡伊し、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻したそうで、絵画にはとりわけ造詣が深い。

トークのため、2日前にイタリアから帰省したというヤマザキマリさん。

とり・みきさんは『クルクルくりん』『遠くへいきたい』などギャグ漫画で知られているが、『山の音』(1988年)など繊細な画風のSF作品も手掛けている。

熊本県人吉市出身のとり・みきさん。

遺跡好きという2人のトークは、前日一緒に訪れたという熊本県山鹿市の熊本県立装飾古墳館の話からスタート。

2人は、古代ローマ帝国、ポンペイ終焉の時代に活躍した愛すべき変人の博物学者、プリニウスを主人公とした歴史伝奇ロマン『プリニウス』を「新潮45」で共同連載中。以前、とり・みきさんが匿名で、ヤマザキマリさんの『テルマエ・ロマエ』の背景を手伝っていたこともあるのだとか。

トークでは、『プリニウス』執筆のため2人が訪れたポンペイや周辺遺跡のビデオ映像を流しながら、2000年の時を超え、日本にやって来たポンペイの壁画が発掘された貴重な現地の様子を紹介してくれた。

 

『プリニウス』の取材で、2013年9月に訪れたポンペイやエルコラーノの遺跡の映像を見せながら。
動画はとり・みきが、凝りに凝って編集制作したものだそう。

 

「イタリアのナポリ近郊にあった古代都市ポンペイは、紀元79年にヴェスヴィオ山の噴火によって壊滅的な被害を受けましたが、その17年ほど前にも大地震があったと言われています。ちょうどプリニウスや皇帝ネロの時代です。
復興の際、大規模な地震対策が行なわれたのですが、実はこの時代の地震対策で生み出されたのがコンクリートなんですよ」とヤマザキさん。友人や貴重な書物を救済するため、逃げる人々に逆走し、ヴェスヴィオ山麓方面に向かったと言われるプリニウス。彼の最後の宿泊地と推測されるスタビアのサン・マルコ荘や、いまだに遺跡に残されたままの無数の人骨、当時の技術力の高さを伺い知れる地下の巨大貯水施設など、本展覧会で見られる貴重な壁画の裏話とともに、当時の文化や生活ぶりをうかがえるエピソードの数々を披露してくれた。

テルマエ・ロマエ』の背景も描いていたとりさんにとっては、巨大なアトリウムを備えた浴場など“描き覚えがある”遺跡も多かったという。「ルネサンスは、もともと古代ギリシア、ローマの文化・芸術を復興させようとしたもの。ただそれは、ほとんど根拠のない想像から再現されたものでした。それが、18世紀にポンペイの発掘調査が進んだことで、画期的に古代ローマのことが分かるようになってきた。僕にとって考古学はある意味SF。残された小さなヒントを組み合わせ、当時あったかもしれないものを再現していく過程には、たまらないロマンを感じますね」。

 

『プリニウス』の制作秘話には会場一同、興味津々。

 

トーク後半では、イタリア在住のヤマザキさんと日本にいるとりさんが、どのように『プリニウス』の共同作業を進めているか、その工程も公開した。主に、ヤマザキさんが時代考証を踏まえてプロットを作成。それを絵コンテにし、とりさんとコマ割を検討する。下絵を作り、作画の分担を決めて、それぞれがキャラクターや背景を描き込んでいくという。

 

とり・みきさんが丁寧に描き込んだ背景の作画に

 


 

ヤマザキマリさんが作画したキャラクターを重ねると…こんな感じに。お見事!

 

「古代ローマ帝国の時代は約1000年続きました。その文化と歴史には人間の知性と教養が詰まっています。現代ともシンクロする社会現象がたくさんあるんですよ」とヤマザキさん。古代ローマ帝国と日本の共通項を“自然災害”を切り口に描く知的歴史エンターテインメント『プリニウス』を読んでから展覧会を見るか、見てから読むか。「世界遺産 ポンペイの壁画展」は、6月18日(日)まで福岡市博物館で開催中だ。

 

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