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マンモス展から 永久凍土を掘る<下>【連載】

2020/01/21 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

福岡市科学館で開催中の「マンモス展」の見どころを3回に分けて紹介する。

近畿大の「マンモス復活プロジェクト」を紹介するコーナー

 約1万年前に絶滅したケナガマンモスを復活させる―。そんな遠大な研究に、世界各地の研究機関が取り組んでいる。日本では近畿大が1996年から「マンモス復活プロジェクト」と銘打ち挑んでいる。
  ロシアのサハ共和国で発見された2万8千年前のマンモス「ユカ」の脚から細胞核を採取。マウスの卵子に注入したところ、ユカの細胞核の一部が動きだし、2万8千年前の生命現象が現在によみがえった。近畿大が昨年3月に発表した論文は世界の注目を集めている。
  ただ、細胞分裂までは確認できなかったことから、現在のクローン技術で復活させることは困難であることも分かった。論文はマンモス復活計画が生命倫理、動物愛護、環境保全の観点から課題や問題があることも提示した。

マウスの細胞核(☆)に反応し、動きだしたマンモスの細胞核(⇧)=近畿大提供


  近畿大は現在、マンモスの受精卵や子宮を人工的に作ることなども構想し、第一歩としてゲノム情報の解読を進めている。チームをまとめる生物理工学部の松本和也教授は、月面着陸を例に挙げて研究の意義を強調する。「アポロ計画からいろいろな技術が生まれたように、マンモス復活研究も新しい科学技術をもたらす可能性がある」
  会場にはプロジェクトの成果と課題をまとめたパネルも展示しているが、研究の是非は示していない。松本教授は「生命倫理は研究者だけでなく社会全体で考えるべきテーマ。会場で一人一人に関心を持ってもらい、答えを考えてほしい」と語った。マンモス展は「生命とは何か」を来場者に問いかける。(大淵龍生)=1月11日西日本新聞朝刊に掲載=

 

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