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菊畑茂久馬さん追悼連載⑥「もう変えようがない」【2008年コラムより】

2020/06/30 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 ARTNEでは、2020年5月21日に他界された福岡市の画家、菊畑茂久馬さんを追悼し、過去、菊畑さんが西日本新聞で執筆した書評や本についてのコラムを連載します。

 

【第6回】昭和の年寄りをよろしく もう変えようがない

 新しい年を迎えるたびに、「昭和」という時代がどんどん遠くなっていく。映画やテレビはもちろん、美術館でも「懐かしい昭和展」とかが開かれるようになった。
 
 書店に行くと、「思い出の昭和アルバム」とか、「昭和レトロ」とか、チンチン電車の走る沿線の風景を載せた本が、ずらりと並んでいる。そんな中から「昭和年代スケッチブック」(いそっぷ社)なんかを、みんな知ってるくせに、わざわざ買ってきて、アトリエで嬉(うれ)しそうに読んでいる。

 私は昭和十年生まれ。心もからだも昭和製、昭和を缶詰にしたような人間だから、もう変えようがない。

 携帯電話とか、パソコンとか手に触れたこともない。インターネットとか、ホームページとか一体何のことかわからない。薄っぺらなテレビも、あれは嫌だ。今のが映らなくなったら、どうしようと心配でならない。フィルムの無いデジタルカメラも気味が悪い。いつも公衆電話を探しまわって、十円玉を入れて掛けている。街には私のような昭和人間が大勢オロオロと歩いている。みなさん、今年も昭和の年寄りをよろしく。(画家・菊畑茂久馬)

 

▼きくはた・もくま 画家。1935年、長崎市生まれ。57年-62年、前衛美術家集団「九州派」に参加。主要作品に「奴隷系図」「ルーレット」「天動説」の各シリーズ。97年に西日本文化賞、2004年に円空賞をそれぞれ受賞。「絵かきが語る近代美術」など著作も多い。2020年5月に他界。

=2008年2月3日西日本新聞朝刊に掲載=

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