九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  連載記事 ›  【連載】山出淳也 アート、まちに出る 41

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 41

Thumb micro 6f691dcb2f
山出淳也
2021/04/27
LINE はてなブックマーク facebook Twitter

NPOってなんだ?

 別府で活動を始めるとき、どんな組織が適切なのか悩んだ。

 その時はなんとなく「NPOでもいいかな」なんて考えNPO法人化したわけだが、2006年にアートNPOによる全国大会を別府市で開催し、改めてNPOってなんだろうと考えるようになった。

 NPO=民間非営利団体。この日本語から、多くの人は利益を出したらいけない組織って誤解する。でも、利益を出さなければ、どんな組織であろうとも、継続することができない。収益が生まれるってことは、誰かにとって必要なものへと育ったってことじゃないだろうか。

 大ざっぱに言って、株式会社とNPOの違いは、利益の使い方にある。一般的に株式会社は株を皆で持ち、その割合に応じて利益が分配される。NPOは利益を次の活動のために使う。

 人口減が続き、今後ますます都市経営は苦しくなるだろう。地域格差は広がり、今までと同じような公的サービスが受けられなくなる可能性がある。地域の課題はますます複雑・個別具体的で、行政だけではなく、市民団体にもその一翼を担ってもらう必要性が出ている。専門性を上げつつもコストを落とし、スピードをあげ課題と向き合っていくために、NPOという考え方が生まれ20年が過ぎた。

 その発端は、1995年の「阪神・淡路大震災」にさかのぼる。全国から延べ100万人を超えるボランティアが集まり、行政とは異なるスタンスで復興支援活動に取り組んだ。世界中からたくさんの義援金が集まったが、法人格を持たない市民団体では銀行口座を開くことすら難しい。受け皿となる公的な組織の必要性と法的な不備が可視化され、法整備が進んだわけだ。現在、5万を超えるNPO法人が全国で活動を続ける。

 自分たちの地域の未来は、どんな姿が望ましいんだろう。都会じゃなきゃ享受できないなんて誰が決めた? NPOの利益は次の活動のために使う。つまりそれは地域の未来に投資するということ。NPOは自治だ!(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(1月8日付西日本新聞朝刊に掲載)=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini b174c4cce3

ホキ美術館所蔵名品展~超絶リアリズム絵画~

2024/09/07(土) 〜 2024/10/13(日)
福岡アジア美術館

Thumb mini 77e5fe018a
終了間近

古賀が生んだ特撮美術の匠 井上泰幸のセカイ展

2024/09/07(土) 〜 2024/10/06(日)
リーパスプラザこが 歴史資料館ギャラリー

Thumb mini 94e704ab04
終了間近

弥永隆広展 -narrative-

2024/09/20(金) 〜 2024/10/06(日)
EUREKA エウレカ

Thumb mini d06cd6fa15
終了間近

画業40周年記念
清水玲子原画展

2024/09/21(土) 〜 2024/10/06(日)
長島美術館

Thumb mini 969382189f

ふくおか県芸術文化祭2024 オープニングフェス

2024/10/05(土) 〜 2024/10/06(日)
天神中央公園、アクロス福岡1Fアトリウム

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini d597e60329
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 40

Thumb mini 5e0daa3839
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 39

Thumb mini 651f382d5e
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 37

Thumb mini ee31c12a2f
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 36

Thumb mini f18f529dfa
連載記事

【連載】山出淳也 アート、まちに出る 35

特集記事をもっと見る