ホキ美術館所蔵名品展~超絶リアリズム絵画~
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福岡アジア美術館
山出淳也 2021/04/22 |
別府文化月間
2009年「混浴温泉世界」の開催を機に、「私も発表したい」と言う声を多く聞くようになった。この芸術祭は、多様な価値が混在する世界をアートで表現しようというもの。清島アパートでの展覧会に最初に招いたのは十数名。しかし日を重ねるにつれディレクターの手を離れ、展覧会はまるで生き物のように意思を持って動き増殖を続けた。大きな話題になった。
その現象から僕が学んだことは、「委ねる」ということだ。
理想を追えば、内容や質の高低で除外されてしまうものが出る。本来、多様な価値が混在する場とは「選ばない」ということだ。
そんなことを考え、「ベップ・アート・マンス」=別府文化月間という事業を企画した。秋の1カ月から2カ月程度、別府市で行われる文化イベントならなんでも登録が可能な、無審査の市民文化祭。2010年から毎年継続している。最初は1カ月間で参加団体は30にも満たなかったが、今では100団体近い方々が多様な事業を実施する。
BEPPU PROJECTが事務局となり、広報物を作りチケット販売の代行をするが、イベントの経費はそれぞれが負担し、責任を持って開催する。自宅を会場に展示を行う者、商店街での落語イベント、折り紙を一緒に折ろうという児童もいたな。僕が企画したら、絶対出てこないような不思議な企画が次々に生まれてくる。
2013年からは毎月欠かさず、「つくろう会」と題して、お悩み相談会を実施している。文化と言ってもその枠は広い。これまで出会わなかった者同士が悩みを共有し、どのような在り方が望ましいか、皆で考える場だ。誰をも受け入れる開かれた場。ここに集う一人一人が責任を持って望ましい全体像を語っていく。
今期はオンライン会場も用意した。遠くウェールズの観光協会も参加する。「別府ってどこだっけ?」と苦笑いもするが、もはやその輪は広がり、国境をも軽々と超え始めている。会期は2021年1月31日まで。(現在は終了)(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)
=(1月7日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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