〔追悼〕人間国宝
中島宏展
ー永遠の青磁ー
2019/03/16(土) 〜 2019/05/06(月)
09:30 〜 18:00
佐賀県立美術館
2019/04/30 |
私が20代のころ、東洋考古学者の三上次男先生のもと有田の古窯で発掘をしていると、必ず来ていたのが中島宏先生でした。学者でもないのに詳しくて、不思議なカバンをさげていて。陶片をじっと見て生地の厚みや焼成の具合を読み取っているようでした。
気さくに話しかけてくれるので親しくなり、十四代酒井田柿右衛門先生と私とで飲みに行くと夜更けまで焼き物の話です。中島先生と柿右衛門先生は、回りから見ればけんかでもしているように意見を戦わせ、私も生意気盛りでした。
時を経て2016年の有田焼400年事業のころ、有田では「有田焼の定義をどう設定しようか」との議論が持ち上がりました。400年事業には先生のお力も欠かせません。佐賀の陶芸家で重要無形文化財(人間国宝)保持者の先生は、有田町在住が白磁の井上萬二先生、色絵磁器の十四代今泉今右衛門先生。中島宏先生の窯は武雄市なので、率直にお聞きしました。
「400年事業に加わるのは、嫌ですか」
「何言ってんだ!おれのどこを切っても有田だよ」 当然「ノー」を予測していたのに意外な返事。「では、400年事業のテープカットに来てくれますか」「おう」。思いがけない快諾で、約3時間も先生は「有田焼とは常に挑戦だ」と熱く語られました。
いつか「先生の青磁はどこに向かっていくんですか」と聞いたら、「一度自分が作った世界は捨て去って、毎年新しい物を作りたい」と言っていました。
先生は、実は含羞(がんしゅう)の人。言いたい放題でも心の中に戸惑いがあるようで、はにかんでいるような印象でした。一匹狼(おおかみ)を演じても人が大好き。話し始めると止まらないのです。人柄も作品も唯一無二。もっともっと、お話をしたかった。(談、聞き手は平原奈央子)
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