〔追悼〕人間国宝
中島宏展
ー永遠の青磁ー
2019/03/16(土) 〜 2019/05/06(月)
09:30 〜 18:00
佐賀県立美術館
2019/05/05 |
あれは冬曇りの夕方のことでした。明け方5時ごろから午後5時まで雪の中でねばって、やっと30秒だけ晴れた空の青を撮影したんです。今展の図録に掲載した、中島宏先生の「弓野窯」の雪景色。竹林の先に広がる青を待ち続けました。
6年ほど前、最初に武雄市弓野の先生宅にうかがったときに案内されたのは物原(失敗作の捨て場)でした。無数の青磁の破片が積もっていて、「命がけで作陶している」と覚悟と執念を感じました。
先生は心の底から弓野を愛し「この自然と気配を作品にしたい」と口癖のように言っていました。先生の美意識に応えるため野鳥の訪れを日がな一日待ったことも。福岡市のスタジオにいると先生から電話がかかり、「今、雨上がりで紅葉が落ちたところに日が差している。きれいだからすぐに撮りに来い」と突然呼ばれたこともありました。
先生の作品は豪快です。その強さを出そうと、下から見上げるように撮影すると「こういう風に俺の作品を撮ったカメラマンはいない」と、図録を任されるようになりました。ライティング(照明)は固めに絞り、彫りの陰影が際立つようにしました。
「切羽詰まった状況でこそいいのができる」と、先生は個展前のぎりぎりまで作品を作り、ならばと私も挑む姿勢でカメラを構えます。撮影の間にも貫入がピシピシと入る音が響き、その細いひびの中にも届く照明の光を作り出し、シャッターを押しました。
今展は2種類のポスターを作り、従来とは違う新鮮な魅力を写真のアングルでも表現しています。
先生は晩年「やっと俺は自在に色を作れるようになった。今からいいものを作るぞ」とおっしゃっていました。ご葬儀の日、武雄の空には虹が架かっていました。(談、聞き手は平原奈央子)
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/10/31(木) 〜 2024/11/25(月)
大丸福岡天神店 本館8階催場
2024/09/07(土) 〜 2024/11/24(日)
つなぎ美術館
2024/10/26(土) 〜 2024/12/01(日)
九州芸文館