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筑後という土壌でアートの種を育てる試み『CHIKUGO ART POT』【ARTNEコラム|Social】

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アルトネ編集部
2017/08/18
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ARTNE(アルトネ)では、九州・山口各地に目を向け、アート関連の読み物を届ける。そのコーナーのひとつ【Social】は、アートと社会、その交差点でどんなことが起こっているのか考えるコラム。今回は九州芸文館で27日まで開催中の『CHIKUGO ART POT 2017 そーまのたらい展』を企画した九州芸文館学芸員・三満田巧(みまんだ・こう)氏に福岡県筑後地区とアートとの関係や本展の狙い、イベント内容などについて寄稿いただいた。(編集部)

そーまのたらい展会場風景(photo: 長野聡史)


■筑後という土壌でアートの種を育てる試み
 福岡県における公立の美術館施設は、そのほとんどが福岡県北部(福岡・北九州・筑豊エリア)に集中しており、これまで福岡県南部(筑後エリア)の住民が地元で芸術文化に触れる機会は少なかったと言える。このような状況で、2013年4月、筑後エリア住民の文化交流の場として、福岡県によって芸術文化交流施設「九州芸文館」が筑後市に開館した。その筑後エリアには、棚田をはじめとした豊かな自然環境、木工や絣、和紙などの伝統工芸、橋梁や工場群の近代化遺産など、数々の地域資源を携える一方、住民の実感として都市部と比較して、「地元には何もない」という消極的な声も多く聞かれているところである。
 そこで、九州芸文館において、地域住民が芸術文化に触れる機会を提供し、地域住民の地元に対する誇りや文化芸術活動への主体性を促進する目的で、九州芸文館を拠点に『ちくごアートファーム計画』を立ち上げ、筑後エリアの魅力に注目しながら地域と一緒に展覧会を作り上げるプロジェクトを三年計画(2014~2016年度)で実施した。同プロジェクトは、1年目を種まき、2年目を水遣り、3年目を収穫と位置づけ、筑後という土壌でアートの種を育てる試みだった。そして、収穫後の新たな展開として『CHIKGO ART POT』を実施することとした。


■『CHIKUGO ART POT』とは?
 2017年からの三年間では、地域資源を活用した参加型展覧会という前プロジェクトの枠組みを継承し、九州芸文館の交流拠点性の発展を図りつつ、アートが地域に出かけていくことで、より地域と密着したプロジェクトを実施していく。前プロジェクトで収穫した種を、ひとりひとりの手元に届けていきたい。そこで、プロジェクト名を『CHIKUGO ART POT』とした。「POT=鉢植え」に、地域に住むひとそれぞれが、自分の手元でそれぞれのアートの種を育てるきっかけになればと想いを込めた。そして、本プロジェクトの第1段階目として、アーティストユニットKOSUGE1-16(こすげいちのじゅうろく/車田智志乃・土谷享)を招へいし、『そーまのたらい展』を企画、開催することとなった。
※KOSUGE1-16
 車田智志乃(くるまだちしの)・土谷享(つちやたかし)の両氏は、「街と、そこに暮らす人々とのつながり」をテーマに、国内外さまざまな地域で、その地域ならではの主題を見つけ、ユーモアを交えながら、多くの人を巻き込んだ作品やワークショップ等を作り上げる。

 

>>次のページでは『そーまのたらい展』の展示作品やイベントを紹介!

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