特別展
奈良 中宮寺の国宝
2021/01/26(火) 〜 2021/03/21(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2021/03/04 |
九州国立博物館(太宰府市)で開催中の特別展「奈良 中宮寺の国宝」の見どころを同館の小泉惠英(よしひで)・学芸部長が5回にわたって解説します。
狩野芳崖のスケッチ
写真といえば、もはやデジタルカメラしか知らない世代が増え、普通のカメラよりスマホの方がキレイな写真が撮れる時代。若い世代にはあえてフィルム写真を楽しむ人もいるという。展示室に並ぶ小川晴暘(せいよう)、入江泰吉、土門拳ら名だたる写真家の研ぎ澄まされた眼が捉えた中宮寺本尊の美は、彼らに何を訴えるであろうか。
今回の展覧会では、近代以後に仏像が文化財、美術作品とされるようになった時代も取り上げた。現在のわれわれが当たり前のように仏像の美を鑑賞、賛嘆する、その原点を考え、示してみたかったからである。
こうした価値観の生まれる先駆けとなったのは、明治時代の岡倉天心、フェノロサらによる古社寺調査で、法隆寺の救世観音像が彼らによって200年ぶりに開帳されたことはあまりにも有名である。日本画家の狩野芳崖は、図画取調掛雇(ずがとりしらべかかりやとい)に任ぜられて天心らに同行し、おびただしい数のスケッチを残した。
明治19(1886)年5月13日、一行は法隆寺、中宮寺、法輪寺、法起寺を訪れた。慌ただしい日程の中で、芳崖は中宮寺本尊のスケッチを2枚描いている=「奈良官遊地取 第八巻」。正面からの1枚は陰影までしっかりと描き込み、斜めからのもう1枚は像全体を的確に把握している。いずれも芳崖の確かな画力をうかがわせる。
天心はこの一連の調査で、自分の見た作品を4段階にランク付けしている。中宮寺本尊はもちろん最上位、天寿国繡帳(しゅうちょう)は原形をとどめぬ断片と化していたこともあってか2番目の評価であった。(小泉惠英(よしひで)・九州国立博物館学芸部長)
=(3月1日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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