北九州未来創造芸術祭
ART for SDGs
2021/04/29(木) 〜 2021/05/09(日)
北九州市東田地区
2021/06/11 |
北九州市で開催された「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs 真のゆたかさのために」のディレクターを拝命した。この企画には⼆つの背景がある。⼀つは、2014 年から中国、韓国と⽇本政府が各国の各都市で、⽂化イベントや⽂化交流を⾏う国家事業を持ち回りで開催している「東アジア⽂化都市」の2020 年開催都市に北九州市が指定されたことだ。もう⼀つは2018年にOECD(経済協⼒開発機構)によって北九州市がSDGs(国連が制定した持続可能な開発⽬標)の推進に向けたモデル都市にアジア地域で初めて指定されたことだ。しかし実際の開催は新型コロナウイルス問題に影響されて、2021年の4⽉29⽇からということになった。(北九州市を開催とした東アジア⽂化都市事業も2021年まで延⻑)こうした枠組みがあっての芸術祭ということで、テーマも「SDGs」を掲げることになった。この芸術祭では、SDGsの17の⽬標から⼤きく⼆つのテーマに絞り、⼀つは「環境問題」、もう⼀つは「社会の多様性」とした。
環境問題は東⽥ミュージアムパークの東⽥⼤通り公園を中⼼に展開。例えば「淀川テクニック」は絶滅した動物の彫刻を制作したが、これらの彫刻は、アーティストが市⺠と共に藍島で拾い集めたプラスチックのゴミで出来ている。団塚栄喜は、地元の草類を巨⼤な⼈型に植栽し、「メディカルハーブマンカフェプロフェクト」という作品を作った。これは、胃の所にある草は胃の病気に効くという⾵に、漢⽅薬による⼈体の⾒取り図のようになっている。
北九州イノベーションギャラリーでは、テクノロジーを使った作家3⼈を紹介した。古い家電を楽器としてよみがえらせることで知られる和⽥永は、展⽰室の床にバーコードを貼りめぐらし、その上をバーコードリーダー付きのスケートボードで⾛ると⾳がするという仕掛けを考案した。これには市内のスケートボーダーも参加して、ダイナミックなパフォーマンス作品に発展した。ライゾマティクスは、北九州市を拠点とする安川電機の産業⽤ロボットを使って光と影の映像を作り出し、⽥中浩也研究室+METACITY(⻘⽊⻯太)は巨⼤な3D プリンターを使った苔庭を作って、テクノロジーと⾃然の⽣み出す新しい可能性を開⽰して⾒せた。
さらに北九州市⽴いのちのたび博物館では、落合陽⼀が、その所蔵品である⽣物や鉱物の標本を⾼精細の写真にして、新しい視覚体験を作り出した。また東アジア⽂化都市を意識して、中国のジャン・ワン、韓国のチェ・ジョンファという作家達も、彫刻展⽰によって参加した。また北九州市環境ミュージアムでは、地元出⾝の鄭 慶⼀が市⺠との交流プログラムを実施した。
⼀⽅、北九州市⽴美術館では「多様性への道」と題した展覧会を開催した。こちらは、「ジェンダー平等を実現しよう」「⼈や国の不平等をなくそう」といった社会的な⽬標を総合して「多様性を認めあう真に平等で豊かな社会の実現」をメッセージとしている。10名の障がいをもつアーティストの作品は、専⾨のキュレーター杉本志乃さんに共同キューレーションをお願いした。
作品は障がい者の⽅の⼤型絵画やインスタレーション、障がい者のためのオートクチュール・ファッション、独居⽼⼈をテーマにした写真、⽿の聞こえない⼈の戦争体験を描く映像など、およそ18組のアーティストのユニークな作品を展⽰している。
北九州市⽴美術館の展⽰は、7⽉11⽇まで開催予定なので、是⾮ご覧いただきたい。(南條史⽣)
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