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【岡本太郎・ピカソの作品や、土方歳三の軌跡まで】2023年度、熊本県立美術館の注目展覧会!

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アルトネ編集部
2023/04/24
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 九州、山口エリアの展覧会情報を発信するARTNE(アルトネ)による、各施設の展覧会ラインナップから注目の展覧会をご紹介するシリーズ。今回は熊本県立美術館編です。

 

■細川家の大名道具や熊本の工芸、近代日本画の名品や西洋絵画などを展示

国指定重要文化財  菱田春草《落葉》 右隻
永青文庫所蔵 熊本県立美術館寄託 
※前期展示 4月11日~5月14日

美術館コレクションⅠ
2023年4月11日(火)~6月25日(日)

 細川家伝来の美術品の中から、歴代当主の甲冑を紹介する他、春の行楽シーズンにちなみ、野外で飲食する際に用いられたきらびやかな提重、桜花文をあしらった女性の調度などを展示します。また、延寿派や同田貫といった熊本の刀剣、小代焼・八代焼・網田焼といった熊本の陶磁器の他、菱田春草《落葉》(展示期間:4/11~5/14)をはじめとした日本画の名品を紹介します。さらに、海老原喜之助、坂本善三ら熊本ゆかりの画家たちの作品によって熊本近現代の美術動向を辿るとともに、熊本県立美術館所蔵の西洋絵画を併せて紹介します。

 

 

■白隠と仙厓の作品を中心に、禅画の世界を紹介

仙厓義梵 《七福神図》
永青文庫所蔵 ※前期展示

細川コレクションⅠ 白隠と仙厓
2023年4月14日(金)~7月2日(日)
 
 永青文庫には、白隠や仙厓による禅画のコレクションが豊富にあります。近代の美術品のコレクターとして名高い細川護立は、10代の少年期に肋膜炎を患い病床に伏していたとき、白隠が著した『夜船閑話』に出会い、感銘を受けたことがきっかけで、白隠の書画を収集するようになりました。また、護立は白隠の収集を進めるうちに、仙厓の作品にも出会い、併せて買い求めました。白隠や仙厓の、機知に富みふと考えさせられる要素も含んだ作品は、現代の我々の心に響くものでしょう。本展は、白隠と仙厓の作品を中心に、禅画の世界を紹介するもので、熊本県立美術館の細川コレクション展では初めての企画です。

 

■今西コレクションの名品や熊本県立美術館の新収蔵品を紹介

美術館コレクションⅡ
2023年7月15日(土)~9月10日(日)

 細川家伝来の美術品の中から華麗な装飾がほどこされた蒔絵鞍をはじめとした武具を紹介する他、当主夫人の婚礼調度や衣裳を展示します。また、平田郷陽の人形や、熊本出身の漆芸作家・高野松山、増村益城らの漆芸作品など、今西コレクションの名品を展示。さらに、令和4年度に新たに収集した美術品を軸に、熊本の戦後美術の流れを紹介します。

 

■“鳥”に注目の展覧会。多種多様な鳥にまつわる作品を一堂に展示

《游禽図》(部分) 永青文庫所蔵
※会期中に巻替

細川コレクションⅡ 二の丸☆バードウォッチング!
2023年7月19日(水)~10月1日(日)

 本展では、人々にとって身近な存在である“鳥”に注目!古来より人々は、鳥のさえずる美しい音色に耳を傾け、また色鮮やかな姿に魅了され、吉祥的な存在、あるいは神聖なモチーフとして表現してきました。本展では、“かわいい鳥”から“伝説上の鳥”に至るまで、多種多様な鳥にまつわる作品を一堂に展示します。

 

■1900~60年代にかけての日本と西洋の美術をたどる

古賀春江《海》東京国立近代美術館所蔵

令和5年度国立美術館巡回展 20世紀美術の冒険者たち
―名作でたどる日本と西洋のアート

2023年7月22日(土)~9月18日(月・祝)

 日本近現代美術を体系的に収集する東京国立近代美術館のコレクションを中心に、高松市美術館、熊本県立美術館の3館から選りすぐりの絵画、版画、立体造形76点を展示し、前衛の登場により大きく変容した1900~60年代にかけての日本と西洋の美術をたどります。
 萬鉄五郎、藤田嗣治、岡本太郎、白髪一雄といった歴史に名を残す画家に加え、マティス、ピカソ、カンディンスキーらモダン・アートの巨匠たちによる名作をご覧いただきます。
 なお、本展は熊本県立美術館開催後、高松市美術館に巡回します。

 

■大阪市立美術館の8500件以上の所蔵品の中から厳選された約150点を展示

北野恒富《星》
大阪市立美術館所蔵

美をつくし~大阪市立美術館コレクション展
2023年9月16日(土)~11月12日(日)

 大阪市立美術館は、東京・京都に続く全国で三番目の公立美術館として昭和11年(1936)5月に開館しました。美術館本館建物は戦前の大型美術館の貴重な例として、現在登録有形文化財に登録されています。大阪市立美術館のコレクションは、多くの方々の支援によって築き上げられてきました。8500件以上にのぼる所蔵作品は、日本・中国の絵画・書蹟・彫刻・工芸など多岐にわたり、関西を中心に活躍した財界人らが収集したコレクションをまとめて所蔵する点に特徴があります。
 「美をつくし」展は、大阪市立美術館が開館90周年を迎えるのを前に大規模な改修工事を行うため、令和4年(2022)から同7年にかけて休館することに伴い企画されたもので、所蔵品の各分野から厳選された約150点の優品を紹介します。
 なお、展覧会名の「美をつくし」は大阪市章でもある澪標(みおつくし:船が往来するときの目印)になぞらえたものです。

 

■国指定重要文化財を中心に、さまざまな東洋彫刻を展示

国指定重要文化財《石造菩薩半跏像》永青文庫所蔵

細川コレクションⅢ 金石之交 微笑みのみほとけと細川コレクション
2023年10月7日(土)~12月24日(日)

 日本には紆余曲折を経て様々な国の金銅仏や石仏が伝来していますが、なかでも細川コレクションには、中国を中心に美術史上貴重な作品が多く含まれています。
 本展では、細川コレクションの中国彫刻の代表格で、神秘的な微笑みが魅力的な国指定重要文化財《石造菩薩半跏思惟像》(北魏時代・6世紀)を中心に、さまざまな東洋彫刻を展示します。
 また、コレクションを蒐集した細川護立の審美眼や、護立と早崎稉吉ら東洋美術のスペシャリストの間に結ばれた縁にもスポットを当て、作品の美しさだけでなく、それぞれが細川コレクションとなるまでにたどってきた歴史を紹介します。


■細川家と熊本の絵画や、坂本善三らの作品をご紹介
美術館コレクションⅢ
2023年11月21日(火)~12月24日(日)

 第1室、第2室では、細川家と熊本に関する近世絵画、とりわけ屏風絵を中心に展示します。続く第3室では、坂本善三ら熊本ゆかりの作家が手掛けた、近現代の絵画を中心にご紹介。共通のテーマとして、彼らの作品に現れる「気になるかたち」に注目します。「見えたかたち」は人それぞれ。何が描かれているのか、想像を膨らませながら鑑賞をお楽しみください。

 

■版画に描かれた物語や寓意を読み解きながら各時代に制作された西洋版画を紹介

レンブラント・ファン・レイン
 《百グルデン版画(病者を癒すキリスト)》
 熊本県立美術館所蔵

美術館コレクションⅣ
2024年1月7日(日)~3月24日(日)

 西洋版画の歴史は1300年代後半にまでさかのぼるといわれます。絵画とは異なり、一つの版から複数の作品を刷ることのできる版画は、グーテンベルクによる活版印刷の発明と相まって発展し、イメージによる情報の伝播に大きく寄与しました。第3室にて開催する小企画展「西洋版画をよむ」では、こうした歴史に着目し、版画に描かれた物語や寓意を読み解きます。
 また、第1、2室では細川家に伝来する絵画を展示する他、幕末から第二次世界大戦前後にかけての熊本を中心とした日本画の展開を、熊本ゆかりの画家の作品によって紹介します。

 

■激動の幕末維新期を駆け抜けた、“新選組副長・土方歳三”の軌跡を紹介

《土方歳三肖像写真》
※土方歳三資料館画像提供

土方歳三資料館×肥後熊本藩
2024年1月10日(水)~3月24日(日)

 本展は、東京日野市にある土方歳三資料館の所蔵品を中心にして、激動の幕末維新期を駆け抜けた、“新選組副長・土方歳三”の軌跡をご紹介するものです。また、この機会に合わせて、永青文庫所蔵の肥後熊本藩が記録した“新選組”にまつわる古文書等を展示します。実は、新選組屯所があった壬生寺付近に、熊本藩が陣営を置き、京都警衛にあたっていたことや、熊本出身の新選組隊士が活躍していた史実はあまり知られていません。本展では、こういった知られざる熊本藩と新選組にまつわる歴史も紐解きます。

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