特別展 黒田長政没後400年 黒田侯爵家の名品
知られざる黒田家「家宝」の近代史
2023/09/15(金) 〜 2023/11/05(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
2023/10/07 |
初代福岡藩主、黒田長政の没後400年を記念した特別展「黒田侯爵家の名品」(西日本新聞社など主催)が福岡市早良区の市博物館で開かれている。明治以降の黒田家の家宝の在り方に着目し、明治維新や太平洋戦争といった時代の転換点を経て、現代の貴重なコレクションにつながる歴史や物語を伝えている。
織田信長が藩祖・官兵衛に授けた名刀「圧切(へしきり)長谷部」、徳川家康が長政に与えたかぶと、室町時代の僧、雪舟の水墨画、志賀島で出土した金印…。会場には、国宝や重要文化財を含む約140点が所狭しと並び、感嘆の声が上がる。家宝の由来や価値が紹介され、黒田家や歴史資料に詳しくない人も楽しめる。
名品の数々を一度に鑑賞できるだけでなく、ストーリー仕立ての構成が面白い。激動の近代を生きた3人の黒田家当主の来歴とともに、家宝の在り方の変遷をエピソード付きで解説。戦前戦後は多数の家宝が譲渡・売却されたが、収益は相続税の納付や銀行借入金の償還、戦争国庫債券の購入に充てられるなど、当時の“お家事情”が分かる記録も紹介している。
黒田家の家宝といえば、官兵衛や長政ゆかりの武具が有名だが、会場では古文書から絵画、茶器、大礼服までジャンルや時代の幅広さを実感できる。戊辰(ぼしん)戦争で福岡藩が掲げた「菊紋大旗」や中学修猷館(現修猷館高)の復興に向けた財政支援金記録、明治天皇や大正天皇から贈られた掛け軸なども展示され、福岡の近代史や皇室との関わりを知る上でも興味深い。
学芸員の野島義敬さん(40)は「これまでの展覧会とは違った視点で黒田家と家宝の歴史を楽しめる。長政の没後400年を機に、福岡の発展の礎を築いた黒田家への理解を改めて深めてほしい」と話している。
(文・鶴智雄、写真・石田禎裕)
=(10月7日付西日本新聞朝刊に掲載)=
特別展「黒田侯爵家の名品」
11月5日まで、福岡市博物館。観覧料は一般1600円、高大生1200円、小中生500円。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491(平日午前9時半~午後5時半)。
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