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【コラム】須恵器 深く知る、楽しく学ぶ 現代の食器、容器のルーツ 土器土器!すてきな須恵器ワンダーランド 10月12日開幕 大野城心のふるさと館

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アルトネ編集部
2024/10/03
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 現代の食器や容器のルーツとされる古代の陶器、須恵器の魅力を紹介する「土器土器!すてきな須恵器ワンダーランド」(西日本新聞社共催)が10月12日から12月1日まで、福岡県大野城市の大野城心のふるさと館で開かれる。同市で出土し た甕(かめ)や壺(つぼ)、杯などを展示するほか、デジタルコンテンツを使った体験コーナーも設け須恵器を身近に感じてもらう。 (塩田芳久)

 古墳時代から平安時代まで生産された須恵器は、灰色で硬いのが特徴。朝鮮半島に起源があるといわれ、ろくろで成形し登り窯で千度を超す高温で焼かれた。日用品のほか、瓦や祭祀(さいし)用品も作られた。同市を中心にした地域は九州最大の生産地で、牛頸(うしくび)須恵器窯跡は国史跡となっている。

須恵器 大甕(福岡県大野城市蔵)

 展覧会には代表的な須恵器など68件が出品される。同市本堂遺跡出土の「大甕」(飛鳥時代、7世紀)は酒造用と考えられ、一升瓶百本分の酒が蓄えられる。土に穴を掘って固定していたとみられ、目的に応じ実用的な須恵器が焼かれていたことを物語る。

須恵器 杯蓋
(福岡県大野城市蔵、上部に猫の足跡が残る)

 同市天神田遺跡出土の「杯蓋(つきふた)」(奈良時代、8世紀後半)は猫の足跡が残る貴重な出土品。職人たちが乾燥させていた土器を、猫が踏んでしまったと推測されている。猫と生活する職人たちの姿が思い浮かび、ほほえましくなる。
同県春日市の赤井手古墳出土「子持ち壺」(古墳時代、6世紀前半)は、本体の壺に小さな五つの壺を取り付けたユニークな須恵器だ。すべての壺から液体を注げるようになっている。

須恵器 子持ち壺(福岡県春日市蔵)

 このほか大野城心のふるさと館が学術文化交流する韓国・国立公州大学校歴史博物館所蔵の百済土器も展示され、須恵器がたどった歴史が学べる。

 体験コーナーは子どもから大人まで楽しみ、学べるスペースになっている。自分の姿をスクリーンに映すと土器の形に変わったり、センサーが捉えた顔がデフォルメされて土器に転写されたり、3Dプリンターで作った土器から音や光が飛び出したりと、遊び心が満載だ。

土器にデフォルメした顔を投影するデジタルコンテンツ

 同館の齋藤明日香学芸員は「須恵器は水城や大野城跡とともに、この地域の大切な文化財。魅力的な須恵器の世界に触れていただきたい」と話した。
入場料は一般300円、高校生以下無料。同館=092(558)5000。

●関連イベントも多彩に

昨年の梅頭窯跡公開の様子

「土器土器!すてきな須恵器ワンダーランド」展では多彩な関連イベントを準備している。
10月26日午前10時から梅頭窯跡(福岡県大野城市上大利、三兼池公園内)を公開する。同窯跡は国史跡牛頸須恵器窯跡の一つで、山の斜面を掘った全長11メートルを超す窯跡。規模の大きさや当時の土木技術の高さを目の当たりにできる。参加費、事前申し込み不要。希望者は現地集合。

観覧者にプレゼントする猫のペーパークラフト

 また観覧者には猫のペーパークラフト=写真=をプレゼントする。猫の足跡が残る須恵器にちなんだもの。なくなり次第終了となる。このほかギャラリートークや関連パネル展なども予定されている。

=(9月26日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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