九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  コラム ›  「九州派」の作品を展示 9月末まで由布市・空想の森美術館【コラム】

「九州派」の作品を展示 9月末まで由布市・空想の森美術館【コラム】

2018/09/20 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
寄託された「九州派」元メンバーの作品を手にする高見乾司さん

由布市湯布院町の私立美術館「空想の森美術館」を監修する高見乾司さん(70)=宮崎県西都市=が、1950~60年代に福岡県を拠点に活動した前衛芸術集団「九州派」関係者から、絵画など約130点の寄託を受けた。九州派解散後、各作家が個人で活動を続ける中で手掛けた作品が主。一部を今月末まで同館で展示している。

九州派は57年に結成。東京中心のアカデミックな美術表現に対抗して「反中央」「反芸術」を掲げ、アスファルトを多用した作品などで異彩を放った。約10年で解散した後、各作家はそれぞれ制作を続けた。
作品は九州派の元メンバーで、福岡市西区で活動していた小幡英資さん(1930~2014)と大黒愛子さん(1937~95)の娘、原あやさんが寄託。小幡さんの没後、原さんは2人が保管していた作品の引き取り手を探していた。一部は福岡県美術館、福岡市美術館に収蔵され、残った作品を、2人と交流のあった高見さんが預かったという。
寄託された約130点には小幡さんや大黒さんのほか、九州派を立ち上げた桜井孝身さん(1928~2016)、中心メンバーだったオチオサムさん(1936~2015)や菊畑茂久馬さん(83)、田部光子さん(85)らの作品もある。桜井さんの代表作「パラダイス」シリーズの油絵や、小幡さんが福岡沖地震後に描いた連作「玄海の濤音(とういん)」などが並ぶ。
九州派に詳しい福岡市美術館の山口洋三学芸員は「処分される可能性のあった作品が失われなかったことに意義がある。作品を通し、解散後の作家たちの軌跡が分かる」。高見さんは「九州派は、閃光(せんこう)のように一時代を駆け抜けた。独創的な作品の数々に、当時の名残を感じる」と話している。
入館料500円(中学生以下無料)。火曜休館。同館=0977(85)7542。 (岩谷瞬)=9月12日 西日本新聞朝刊(大分県版)に掲載=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 3e02b9a75f

九州国立博物館開館20周年記念
特別展 九州の国宝 きゅーはくのたから

2025/07/05(土) 〜 2025/08/31(日)
九州国立博物館

Thumb mini db6a6cfb1c

おいでよ!夏の美術館vol.2 「オバケ?」展

2025/07/10(木) 〜 2025/08/31(日)
福岡アジア美術館

Thumb mini 3eb7508cf9

つきなみ講座8月 「みんな」って誰? ー対象から考える美術館の教育活動の変遷

2025/08/23(土)
福岡市美術館 1階 レクチャールーム

Thumb mini 98e60e097d

Hello Kitty 展
-わたしが変わるとキティも変わる-

2025/06/24(火) 〜 2025/08/31(日)
福岡市美術館

Thumb mini fe9c0b2497
終了間近

戦後80年特別企画展「戦争と、炭坑のマチ 田川」

2025/04/24(木) 〜 2025/08/24(日)
田川市石炭・歴史博物館 第2展示室

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini 88f22a28d5
コラム

アートが占う九州の未来 博多阪急で「九州派」展と「Kyushu New Art」

Thumb mini 7e5928eda3
コラム

九州派……時代を駆け抜け、なお美術の第一線 田部光子さんトーク【コラム】

Thumb mini dbc36a40d0
コラム

【コラム】おいでよ!オバケ?展<下>人魚の伝説から生まれた精霊

Thumb mini ba9ea56751
コラム

【コラム】おいでよ!オバケ?展<上>日常に潜む不思議がいっぱい

Thumb mini 2a5d80fe6c
コラム

長崎県美術館 特別展「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」連載〈上〉

特集記事をもっと見る