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佐賀県のアートが熱い!アーティスト・ラン・スペース3件をご紹介【コラム】

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アルトネ編集部
2019/02/14
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地方のアートシーンを紹介する際、どんなに情報を集めようとしても、公立のミュージアムの情報に偏りやすい状況にあることは否定できません。そんな中、佐賀県からは良い意味で少し異質なアートイベント情報が届くことも。気になる佐賀県のアートスペースについて、佐賀大学芸術地域デザイン学部准教授でキュレーターの花田伸一さんに寄稿いただきました。(編集部)

 

佐賀県内に点在するアートスペースのうち、表現者が運営している、いわゆるアーティスト・ラン・スペースを3件紹介する。そこでは展示スペースだけでなく、美術家のための制作スペースや一般客のための飲食スペースを備えていたり、音楽イベントやアーティスト・イン・レジデンス事業に取り組んでいたりと、多様な活動が展開されている。

 

HAMASHUKU KURABITO 外観・内観

HAMASHUKU KURABITO
佐賀の銘酒『鍋島』で知られる富久千代酒造の出資のもと酒蔵を改装してできたスペース。鹿島市の肥前浜宿の白壁建ち並ぶ情緒ある通りに面し、スペース内には制作スタジオ、展示スペースのほか、カフェバーがある。
運営するのは美術家の川崎泰史氏で、酒蔵が忙しいときは蔵人としてヘルプに入りつつ、基本的にはこのスペースで美術家としての作品制作に集中。
日本酒の利き酒も楽しめるカフェバーは地元の人や外からの訪問客の憩いの場となっているが、あくまで自身の制作の妨げにならない範囲での営業。接客をがんばりすぎないという、いかにも美術家らしい運営スタイル。
開設:2016年4月
代表:川崎泰史
時間:月・金・土・日12時~18時(土のみ~21時)
住所:〒849-1322 佐賀県鹿島市浜町八宿乙2688
アクセス:JR長崎本線肥前浜駅より徒歩3分
駐車場:10台
WEBサイト https://www.yasuhitokawasaki.com/hamashuku-kurabito

 

ARTS ITOYA 外観・内観

ARTS ITOYA
アートイベント『糸島芸農』の仕掛け人として知られる福岡県糸島市の Studio Kura 松崎宏史氏が2018年、新たに佐賀県武雄市に元呉服屋を改装してオープン。主にアーティスト・イン・レジデンス事業に取り組むほか、大人向け・子供向けの美術教室も開いている。
これまで滞在した美術家はオーストラリア、北アイルランド、シンガポール、米国・バーミングハム、米国・シカゴ、フランスからと実に国際的。展示だけでなく、音楽ライブやワークショップなどにも積極的に取り組み、地域に開かれた活動を展開している。
開設:2018年4月
代表:松崎宏史
時間:(展示期間中)第4土・日13時~17時、(美術教室)毎週火・木17時~19時
住所:〒843-0022 佐賀県武雄市武雄町大字武雄7271
アクセス:JR武雄温泉駅から徒歩5分
駐車場:無
WEBサイト https://artsitoya.com/

 

Art studio ボンドバ 外観・内観

Art studio ボンドバ
画材に木工用ボンドを用いた作品で知られる冨永ボンド氏が佐賀県多久市に開設。氏の制作アトリエや作品・グッズ販売スペースがあり、月に1度、第4日曜日のみオープン。レンガ造りの倉庫を改装した85平米のレンタル展示スペース「えのぐアートギャラリー」では本格的な展示ができそうだ。
金曜夜のみ営業のバーラウンジには、クリエイターや美術ファンの常連たちが集う。北斎やピカソなど著名アーティストをイメージして作られたオリジナルカクテルのほか、DJブースを使用したクラブイベントやアコースティック音楽ライブなども楽しめる。
開設:2014年7月
代表:冨永ボンド
時間:第4日曜10時~17時、毎週金20時~翌3時
住所:846-0002 佐賀県多久市北多久町大字小侍703-21
アクセス:JR長崎本線多久駅より徒歩5分
駐車場:6台(近隣にも無料駐車場有り)
WEBサイト:ボンドバ/https://www.bondgraphics.com/
えのぐアートギャラリー/https://enoguartproject.wixsite.com/enoguartgallery

 

佐賀県内には他にもアートスペースはたくさんあるが、今回は特に表現者が運営しているところにしぼり3件をピックアップした。
地域のアートシーンの盛り上がりについて考えるとき、美術館や美術大学などの公的施設の有無は要因として小さくはないだろうが、それに加えて、いや、それ以上に、民間において地域に息づくアートスペースの存在が欠かせない。特に表現者がその磁場の中心となって、ともに飲食する、ともに作業する等の機会を地域にもたらす、そのような場の役割は大きいだろう。
美術館や大学では場の性質上、価値あるものを有り難く受け止める空気、いってしまえば「権威」がどうしても生まれがちだが、民間のアートスペースにおいては、特に飲食をともなう場では、より自然に、より健全に価値観の交流が促される。地域の人々の創造性を考えるならば、権威ある場だけでなく、自然に呼吸できるフラットな場があちこちに息づいていることのほうが大事なのではなかろうか。

 

花田 伸一(はなだ・しんいち)
キュレーター/佐賀大学芸術地域デザイン学部准教授

1972年福岡市生まれ。佐賀市在住。北九州市立美術館、フリーを経て2016年より現職。主な企画『6th北九州ビエンナーレ~ことのはじまり』『千草ホテル中庭PROJECT』『ながさきアートの苗プロジェクト2010 in 伊王島』『街じゅうアート in 北九州2012 ART FOR SHARE』『ちくごアートファーム計画』『槻田アンデパンダンー私たちのスクラップ&ビルド展』。企画協力『第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014』『釜山ビエンナーレ2014特別展』他。

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