バニシング・メッシュ

サイン・ウェーブ・オーケストラと、菅野創+やんツー、2組のアーティストによる新作インスタレーション展が山口情報芸術センター［YCAM］で開催される。

展覧会タイトル「バニシング・メッシュ」とは、技術革新によって見えなくなっていく様々な境界線や囲いを暗示している。どこにいてもネットワークに接続できるユビキタス社会の実現は、スマートフォンの普及により加速し、時間や場所を問わず、多種多様な情報にアクセスできる環境を私たちにもたらした。

本展は、進化するIoTなどに即時に適応していくポストユビキタス社会において、テクノロジーを導入した芸術表現の刷新によって、現在の情報環境を批評していく。

会場に置かれた日用品にインターネットを介してログイン(憑依)することを可能にし、無機物であるはずの日用品が、意思を持ち行動することで発生する未知の関係性を観察する、菅野創+やんツーは、インスタレーション作品「Avatars」(インターネットから体験可能。avatars.ycam.jp)を発表。

また、結成15周年目を迎えるサイン・ウェーブ・オーケストラは、これまでの来場者参加型の作品スタイルを維持しつつ、インターネット上の莫大な映像を独自のアルゴリズムで解体/再構成し、本来映像が持っている意味を剥奪させ、サイン波の振幅へと還元したオーディオ・ビジュアル作品を含む3作品を発表する。
 

どちらも今日の情報化社会によって成立する、新しい参加型作品の在り方を提示するもの。2組のアーティストによるメディアアートの今を、楽しんでほしい。

本記事の写真はいずれも 
撮影：古屋和臣／写真提供：山口情報芸術センター［YCAM］