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【連載】山出淳也 アート、まちに出る 21

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山出淳也
2021/02/16
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まちづくりの秘訣

 小さく生み、大きく育てる。それが秘訣(ひけつ)だ。わかる?

 ある日、僕のまちづくりの師匠であるツルタさんが語り始めた。

 君の考え方に興味を持った理由は三つある。一つ目は、実現した姿を僕はどうしても見たい、そう言ってただろ? まちづくりにとって肝心なのは、中心になる人間の情熱だ。それは覚悟につながる。その人間が、誰かのためにとか皆が幸せになるためになんて始めても、もしうまくいかなかった時に、何を考えるのだろう。大切なのは逃げ出さないという覚悟だ。そしてもう一つは、アートであるということ。わかる?

 僕はメモを取りながら、「アートですか?」と言葉が漏れた。

 そう。アートだから興味を持った。別府は今、まちづくりが盛んでいろいろなプレーヤーがいる。温泉に紐付くことを考え企画を練っているが、その中にアートという要素を語る者は今までいなかった。町は多様であればあるほど面白い。一つの切り口だけ推し進めても、それが頓挫したらどうなる? 入り口は多いほどいい。

 この言葉は、その後ものすごく大きな意味を持つことになる。その話はまたいずれ。

 「そして最後の一つは…」とツルタさんの話が続く。

 小さなイベントから始めて、やがてそれをスケールアップさせたい、と君が言ったことだ。いろいろな人が、この町でこんなことをしたい、と最初から大きなイベントを構想する。そんな企画はたいてい実現しない。理由は構想した者の能力や経験、資金面の問題もあるが、育つというイメージを持っていないからだ。経験もネットワークもない者が考えるのは、金があればできるということ。それはある意味正しい。だけど、そんな意識で実現したことはその先に何も残さない。まちづくりでもイベントでも、初期の頃には関わりやすいサイズというものがある。自分が関わることで育っているという、そんな実感を持てるサイズが。夢に向かっていく過程に多くの人が関わり、皆で育てていく。そうなった時に、君一人の夢は、他の誰かの夢にも変わるんだ。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(12月1日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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