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まなざしの果実 熊谷守一展から<1>【連載】

2019/12/25 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

熊谷守一(1880~1977)は97年の生涯で、自らを取りまく草花や動物、虫、人間の「いのち」を等しく見つめ、洗練された構図で描き出した。絵は守一と画題との対話の実りのようでもある。「モリカズ様式」と呼ばれる独自の境地を拓(ひら)いた作品世界を5回にわたって紹介する。

 

岐阜県の大地主の家に生まれた熊谷守一は、日本画の基礎を学んだ後、東京美術学校に入学した。久留米出身の青木繁とは同級生で、親しい友人だった。
<向(むか)ふに灯が見える、その灯の後光が上に射すか下に射すかといふことについて歩きながら大議論をしたことがあつた>(「青木と僕」1927年)と思い出を振り返っている。

自画像(1904年、東京藝術大学蔵)

卒業間もない20代は「蝋燭(ろうそく)」「ランプ」など闇の中のおぼろな光の表現に心を尽くした。「自画像」はその当時のまなざしである。
光への関心は一生涯続いた。久留米市美術館が所蔵する「磯」は72歳の作。強い日差しを受ける海辺の陰影を、さえざえと描き出している。市美術館の森智志学芸員は「刻々と変わる陽光の色を敏感に見つめた」と評する。

磯(1952年、久留米市美術館蔵)

=12月17日西日本新聞朝刊に掲載=

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