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画家たちの年齢に注目した「絵かきになりたい!展」の見どころ解説・後編【寄稿】

2020/05/30 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 画家たちの年齢に注目した展覧会「久留米市美術館のコレクションing 絵かきになりたい!」が当初の会期を延長して、6月7日まで久留米市美術館で開かれています。同館の中山学芸員より、本展の見どころを前後編に分けて寄稿してもらいました。

前編はこちら

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【主な作品②】

  • 海老原喜之助《雪中猪》1931年頃 久留米市美術館蔵 *制作時27歳頃
  •  

 パリ時代に描かれ、「エビハラ・ブルー」と称賛された青を基調とした画面が特徴的な作品です。勢いよく駆ける猪の硬い毛並みや雪をかぶった木々を、パレットナイフで絵具を斜めに重ねることで、大胆かつ巧みに表現しています。

 海老原は20歳になる前に単身渡仏し、パリで藤田嗣治に師事しました。その時のことを「私は20歳前だったから、乱暴で、田舎者で、大変に世話をやいて貰った」と後に語っています。描かれた猪は、まさに猪突猛進、20代の頃の海老原自身を象徴しているのかもしれません。

 

【主な作品③】

  • 髙島野十郎《ぶどうとりんご》1954年 久留米市美術館蔵  *制作時64歳
  •  

 野十郎の静物画の中でも、色とりどりのブドウと青リンゴが、S字曲線を描くように配置された、計算された構図の面白さが際立つ作品です。色とりどりのブドウの一粒一粒に光が反射し、そのみずみずしさや硬さまで伝わってくる緻密な描写は、徹底した写実を追求し続け、物を見つめるまなざしにより深みが増した60代の頃の、野十郎ならではの表現と言ってよいでしょう。

 

【主な作品④】

  •  
  • 坂本繁二郎《達磨》1964年 寄託作品 *制作時82歳
  •  

 円い目玉をむいて口をへの字に結んだ達磨の起上小法師が、画面中央に鎮座しています。達磨の背後にたなびいて見えるものは、絵画的に処理された「起」という文字。赤い起上小法師と「起」の文字で、「七転八起」のメッセージを伝えようとしたというこの絵は、坂本を慕う飲食店の主人を励ますために描かれました。82歳の坂本と周囲の人々との交流を示す興味深い作品です。

 坂本は80歳を過ぎて、記者から「生まれ変わるなら何になりますか」と聞かれ、「生まれ変わってもまた画家になりたい」と答えています。この言葉には、絵ひとすじに歩んだ、充実した画家人生への満足感がにじみ出ています。

(久留米市美術館 中山景子)

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